台形ネジの旋盤加工の方法

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ねじ切り加工。私が仕事を始めたばかりの頃よく言われていましたが、

ねじ切り加工が出来る様になれば旋盤の基礎は理解出来たという事。

とよく言われていました。もちろん超硬のチップでのねじ切りでは無くハイスで自分で刃物を作ってのネジ加工です。
しかし今は色々な種類のチップがあって便利ですよね!角ネジやボールネジとなると無いですが、60度の三角ネジから台形ネジまで様々なピッチのチップがありますからね。
しかし超硬でネジを切ると様々なトラブルが発生し易いです。特にピッチの大きいものや長物ですとやはりハイスの方に軍配が上がります。
そこで今回は私がしている台形ネジのハイスでの加工方法を紹介したいと思います。

台形ネジの加工の順序

3点全てを当ててしまうと刃物が持たない。

これは台形ネジだけに言える事では無いのですが、双方の壁と底の3点を1度に当ててしまうと荷がかかりすぎて刃物がボキッと折れる事があります。

またヘールバイトを使いましょう。ネジ加工は結構荷がかかります。ヘールバイトならば刃物が逃げてくれるので刃物の欠損を防いだり、ビビりの予防にもなります。

特に台形ネジの場合は幅が広いですので、絶対に3点全てを当ててしまうのはやめておきましょう。

ではどうするのかというと、

  1. 真っ直ぐな刃物でまずは底だけ加工する。
  2. 30度の刃物で双方の壁を加工する。
  3. ネジ模範が入るまで横に寄せていく。もしくは総型で仕上げの刃物を成形し、使用する。

です。では1つずつ解説していきます。

真っ直ぐな刃物でまずは底だけ加工する

このような刃物を作ります。

そしたら後は底の定寸までひたすら0.1ミリずつ加工していくだけです。

注意したいのが、ずっと同じ幅の溝を加工していくので底が深くなる程、切粉が噛みやすくなってしまいます。

切粉を噛んでしまうと刃物が根こそぎもっていかれます、、、

そうなるとまた刃物を作らないといけなくなるので、油は切らさずにかけ続けましょう。もちろんそれでも噛んでしまう時は噛んでしまいます。

なので刃物を作る時に、切削方向とは逆に切粉が流れる様に研いだり、すくい角を大きく付けたり、極力荷板を残したり、出来る限りの対策をとっておきます。

また、リード角にも気を付けましょう。横の荷板を逃しておかないと荷板が当たってしまい、刃物の欠損につながります。

切削方向側の荷板を逃しておきます。

特に多条ネジの場合はピッチの条数分リードがキツくなるのでその分横逃げ角を大きくします。

30度の刃物で双方の壁を加工する

次はこの刃物で底から0.02mm程手前まで加工していきます。(3点が当たるのを防ぐため。)

この時はある程度荷をかけても大丈夫なので切粉や熱を見て切り込み量を調整します。

また、切粉を噛む事も滅多にないので、切れ味を良くする為に逃げ角を大きくします。

横の荷板は底を決めた刃物と同様に逃しておきます。

ネジ模範が入るまで横に寄せていく。もしくは総型で仕上げの刃物を成形し、使用する。

後は模範が入るまで0.1mm程度ずつ横に寄せていけば加工終了です。

それか最後に幅と角度をきっちり決めた総型の刃物で仕上げても良いですね。

長ネジを加工する時の注意点

長いネジを加工する時はピッチエラーに注意しましょう。

特にピッチ10以上で長さが3メートル超とかになると一日で終わりませんよね。

例えば、ピッチ10のネジを加工していて、1日目に底を決めていて深さ5mmの所で途中で終業し、

次の日の朝に深さ5mmのところから再スタートしてしまうとピッチがずれていて悲惨な事になってしまいます。

なぜかというと、加工している内に機械側の親ネジが熱膨張していたり、品物側が熱膨張して、1日経って冷めてしまう事でピッチエラーが出てしまうんですね。

なので、1日目で底を決めてしまい、次の日に仕上げるようにしましょう。

内径ネジの場合

内径の場合はよほど径が大きくない限りはヘールバイトが使えません。

なので完成バイトで刃物を作って、少し細めの馬力に刃物をつけて加工しています。

完成バイトはやっぱりコバルトハイスを使っているMO-MAXがオススメです。

まとめ

いかがでしたでしょうか。今回紹介したやり方はあくまで自分のやり方なので、他に、こうゆう方法で加工してますよ!とか意見があれば是非コメント下さい!

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